アスペルガー

初めてのアスペルガーの味方は「担任の先生」(息子-7)

発達に関する診断には、母親からの成育歴がとても重要ですが、特にアスペルガー症候群の場合には、幼稚園や小学校での先生などの観察がとても重要になります。

小学校の担任の先生が「あれ?」と感じた「掃除事件」

アスペルガー症候群の子供は、集団生活の中で困らないかどうかが、大きなポイントになります。

太郎の1年生の担任は、私と同年代の女性で、指導力や熱意を兼ね備えた、素晴らしい先生でした。

「小1プロブレム」という言葉が、広く知られるようになった頃で、そういった子供も数人いたようです。

でも、その先生が子供たちにとても分かりやすい指導をするので、クラスの様子はすぐに落ち着きました。

太郎も担任の先生が大好きになり、まずまずの小学校生活のスタートをきることができました。


掃除事件

ある日、担任の先生から電話がありました。

別件での事務連絡だったのですが、「お母さん、ちょっと不思議に思ったことがありまして・・・。」と、後に「掃除事件」と名付けた時のことを、言いにくそうに切り出しました。

その小学校では、1年生が環境に慣れた5月ごろから、掃除当番が始まります。

太郎が、初めて教室の掃除の当番になった時の出来事です。

初めての教室掃除ですから、担任の先生が、掃除の手順を現場で指導します。

「机を寄せて、前から後ろに掃除します。まず、一緒にやってみましょう。」

先生は口で長々説明するより、実際にやって見せた方が分かりやすいと考えたのです。

太郎は、ほうきの担当でした。

机が後ろ半分に寄せられて、皆が教室の前半分を掃いたり拭いたりします。

太郎は、前側の黒板のところから掃き始めて、後側に寄せられた机の列の間も掃いていき、教室の最後部まで行くということを、列ごとに繰り返したそうです。

前半分の掃除が終わって、机が後ろ半分から前に移動し、皆が後ろ半分を掃除していると、太郎は前に寄せられた机の列の最前部から掃き始めます。

何度か先生が太郎を注意しても、「だって、前から後ろに掃くんでしょ?」と答えて、先生の指示に従わなかったといいます。

先生は、「あれ?」と思ったそうです。

「悪気があるようにも、ふざけているようにも見えないんです。数日後には、皆と同じようにできるようになりましたので、今はもう大丈夫なんですが。」

その時の情景を想像して、「太郎が先生の言った「前から後ろ」を、自分なりの解釈で実行して、見よう見まねができなかった」のではないかと、私は推測しました。

担任の先生との強力なタッグ

私は、個別懇談をお願いしました。

「掃除事件」の種明かし、幼稚園や家庭でのこれまでの様子、特に絵カードの利用で劇的に改善した経緯を話しました。

児童相談所の発達検査の順番待ちをしていることも、話しました。

そして、担任の先生から見て如何ですか、と尋ねてみました。

先生は、

「私は、まだ発達検査が必要なほどだとは感じていません。
すぐに、理解に結びつきましたし、どんどん伸びている時期ですから、もう少し様子を見ましょう。
他にも、もっと発達面で難しく感じる児童もいますし・・・。」

と言ってくれました。

先生の助言で、私は一旦発達検査をキャンセルすることにしました。

アスペルガーの太郎も担任の先生に信頼感

この懇談がきっかけで、太郎について、先生との情報交換はグッと密なものになりました。

これは、アスペルガー症候群であってもなくても、子供の成長にとっては、かなり有益なことだと思います。

太郎が巻き起こすさまざまな珍事件や突拍子もない行動は、大抵はアスペルガー症候群の太郎の誤解から始まります。

先生との情報交換により、私は、太郎の誤解や不安を取り除く工夫ができるようになりました。

実親や姑も含めた親戚中から、ましてや主人からも、「育て方が悪いから、太郎はおかしい」と責められていましたから、担任の先生と密な連絡が取れるようになったことは、初めて私の子育てに味方ができたようで、本当に心強いものでした。

更に、太郎自身が、担任の先生がいれば大丈夫、相談できる、と考えるようになったことが、とても重要でした。

アスペルガー症候群の子供は、失敗が多いので、怒られることが多くなりがちです。

傷ついたり不信感ばかりが募ってしまう前に、信頼できる人を見つけることができたことは、太郎自身にとって大きな意味があることでした。



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